帰ってきた長屋門の話

 

近所に足立区の有形民俗文化財に指定されている長屋門を持つ屋敷がありました。
この長屋門の建築年数は幕末と推測されているそうです。

長屋門とは
武家屋敷でみられた門の形式。門の両側が長屋となっており、そこに家臣や下男を住まわせたもの。富裕な農家にもみられた。出典:小学館デジタル大辞泉

散歩コースだったので、慣れ親しんできた風景でしたが、2017年この屋敷が売却されたことを知りました。

3月に通りかかったら母屋の解体中でした。
茅葺きの上に瓦屋根の乗った、立派な家でした。

維持も大変だったろうし、仕方ないと思うけど、
区で何かうまいこと残して利用する方法とかなかったのかな…と、
勝手ながらちょっと残念に思いました。

長屋門の解体は後半だったようで、最後まで残っていました。
側には大きな桜の木もあり、最後に満開の桜を見ることもできました。

広大な敷地の跡地にはスーパーができると聞いて、
スーパーの人、門だけ残す…なんて粋な計らいをしてくれたりしないかな…
なんて、これまた勝手に思っていました。
でもたぶん無理だろうな…と。

その後、屋敷も長屋門も跡形もなくなくなって、工事が始まりました。

そんな感傷もありましたが、そうはいっても、近所に大きなスーパーができるのを楽しみにしていました。

そして1年と数ヶ月後、2018年6月にスーパーが開店したので、行ってみたら…

なんと店内に、あの門が飾られていたのです!(◎∀◎) ビックリ!

本当に残してくれるとは!スーパーの会社の人、素敵です!

 

 

説明のプレートには以下のように書かれていました。

赤羽家長屋門
この長屋門は近世の島根村の人々に「金武様」の通称で知られていた牛込家のものであった。
建築年数は定かではないが、飾り金具の形状や和釘の使用から幕末と推測される。
その後、赤羽家が昭和14年に屋敷とともに買い受けたものである。
この長屋門中央に取り付けられていた両開きの大扉を、跡地であるこの場所に残し、歴史を受け継いていく。

こちらのスーパーはマミーマートさん。
マミーマートさんのお問い合わせフォームから、感想をお伝えしたところ、
丁寧なお返事くださいました。
下記がそのお返事です。

赤羽家長屋門のことでご連絡をいただきまして、心よりお礼を申し上げます。
足立区島根店の開発を担当した者は、開発の仕事のなかで新しい物を作るだけでなく、古き良きものを何とか残したいとの思いで、このような形をとったとのことでした。

以下、本件の担当からのお礼をご紹介させていただきます。
「メールを頂きまして有難うございます。担当者としてもお客様に感動して頂き大変恐縮しております。
長屋門につきましては、弊社が土地を所有した今から2年程前に、地元の方から長屋門を残して頂きたい旨ご連絡を頂き、その方とお会いした中でいくつかご提案を頂いた経緯がございました。
店舗計画の中で様々な理由から長屋門全部を残すことは難しく門の一部になってしまいましたが、皆様の憩いの場になって頂けるようイートインコーナーに展示する形で残すことで開店を迎える事になりました。
担当者としては地元の方々のご感想をお聞きしたいと思っておりましたが、お客様のご感想を頂き本当に残して良かったと、改めて感じております。
弊社はこれからも地元のみなさまの憩いの場であり、冷蔵庫代わりとして地域に根差した商売をしていきたいと考えております。大変貴重なご意見ありがとうございました。」
との内容でした。

この度のご連絡、誠にありがとうございました。

株式会社マミーマートお客様相談室

このブログへの掲載許可をいただき、
その際に、もうひとつお話を聞かせてくださいました。

店舗南側の敷地内歩道は化粧タイルが敷かれております。しかし店舗を正面に見て右端あたりの化粧タイルとアスファルトは、境目が斜めになっているところがございます。

これは開発の担当に聞いた話ですが、この斜めのところが、かつての長屋門と歩道(公道)の境目であったことを教えてもらいました。

そんなこだわりもあったのですね。
担当の方、粋ですね!
教えてくださった、問い合わせ担当者の方も、ありがとうございました。

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